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©1994 GENKOSHA Co.
一年間続いた「人情紙風船」の最終回。又十郎が父の仇ボッティチェリの首を取って大上段に掲げていると思いきや、照明の電球と間違えてソケットにグリグリ押し込んでます。よく見ると彼は舞台の中央に立ってますね。画面右上方に当時世間を騒がせたO・J・シンプソンもコラージュされています。最終回なので筋については特に書くことはありません。とにかく大団円ということみたいです。
一カ所、下の方でメガネをかけてピストルから旗を出してる人についてちょっと説明しますと、これは「殺し屋ハリー/華麗なる挑戦」という映画のハリー・クラウンという主人公です。ハリー・ライムでもハリー・キャラハンでもこれでもなくハリー・クラウンです。旗に書いてある「99 AND 44/100% DEAD」はその映画の原題。何でこれを描いたのか瞬間分からなかったのですが、旗に小さく「good bye Mancini」とあるので思い出しました。この頃ヘンリー・マンシーニが他界したんですね。もちろんこの映画の音楽もマンシーニでした。特に劇中の口笛のテーマが好きだったのでレコードを随分探したところ、唯一ベスト盤の一枚に「華麗なる挑戦のテーマ」というタイトルで入ってるのを見つけました。口笛はマンシーニ自身が吹いてるそうです。映画の方もそうとう良いですよ。
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何だったかクライマックスの決闘シーンの絵だったような。麻雀を終えた旅の一行がテムズ川にさしかかった時、バッキンガム衛兵を操る白土型忍者と鎧のもののけが出てきて彼らの前に立ちはだかったんですが、桟橋に見たことのない女性が人質として捉えられているのを見て、自分らとは関係ないけどやっぱ助けるべきなのかみんなでグズグズしている風景だったと思います。右下にゴザを敷いて見物してる人たちなんかもいて、画面の緊迫感を完全に削いでますね。
94年といえば旅行でロンドンに行った年なのでそのことが影響してるのでしょう。キングズロードにあるビビアン・ウエストウッドのWorld's Endが閉まってたり、ソーホーでマーク(今はメルクらしい)のトレーナー買ったり、セルティックのセーター拾ったり、ピカデリーサーカスの駅で売ってたロンズデールのパチモンでLONDONって書いたTシャツ買おうかどうか迷ったりしたのを覚えてます。ストーリー的にはこれがピークのはずでしたが、前回の麻雀の方がずっと盛上がってました。作者の個人的な思い出が絵の内容を不明解にしている良い例かも知れません。
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人情紙風船の第5回のテーマはチョンボです。チョンボとは麻雀プレー中にうっかりおかすミスのことで、普通チョンボした人は他のプレーヤーへの満貫払いの罰則が与えられます。その数あるチョンボのうち劣悪なものを列挙しました。話の方は旅の一行が雀荘インドで麻雀を楽しんでいるとき現れた店のマスター天竺徳兵衛が、怪物をあやつって又十郎に戦いを挑むという筋書きです。このアイデアはそのころ観た歌舞伎の「児雷也豪傑譚」から拝借したもので、今みるとこの児雷也と天竺徳兵衛がごっちゃになってますね。いずれにせよ怪物の正体は蝦蟇ということになりますが。
さてこの蝦蟇の怪物が麻雀卓を電ノコで切断しています。絵の構成上これが最もやってはいけないマナー違反で、なおかつ危険な行為ということでしょう。以下、ロン上がりしたプレーヤーを後ろから切る、牌がバカでかい、といったチョンボが続いています。こうしてみると麻雀はたいへん危険なものだと思われそうですが、実際はお茶とかコーヒーを飲んだりカレーライスを食べたりしながらできる、ほのぼのとしたとても楽しいゲームです。お金さえ賭けなければ。
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極私的イラストレーション人情紙風船の第4回は映画のチラシがテーマです。タイトルも「人情ちら紙風船」となっていて、相変わらずフレキシブルな様相を呈しています。これ漢字だと「散らし」と書くのが正解のようで、その旨タイトル横に添え書きしてありました。
さて主役のこのチラシは「エンテベの勝利」という映画のもので、当時の中東状勢を踏まえて公開中止になったと記憶してたんですが、調べてみるとどうやら封切りはしたがすぐ打ち切られたらしく、結局上映されたことが分かりました。このチラシも幻の逸品となるはずだったのがどうだったんでしょうか。詳しい方がいらしたら教えてください。
1976年のエンテベ空港奇襲作戦はイスラエル軍の人質救出電撃作戦として有名です。ウガンダのエンテベ空港に不時着したエールフランス便を、電光石火の英断で救出するという鮮やかな手際が謳われているようですが、映画の方も電光石火で作ったせいなのかデキは相当に悪いとのこと。犯人のパレスチナ解放人民戦線のメンバーたちを食人大統領で有名なアミン大統領が援助していたらしく、悪役には申し分のない顔ぶれが揃ったことで、制作サイドも上滑りに勢いづいたんだと察せられます。
画面の数カ所に、アラブゲリラの兵士と共にくさやが描かれてますが意味は思い出せません。中央には今は亡きアラファトPLO議長も居てなにか喋ってます。だいぶパレスチナ側に肩入れした構図ですね。なお今回からチラシを持って現れた丹下左膳みたいな人が新メンバーとして旅に加わりました。
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神戸の中古レコード店に置いてあったチラシで全国暴力追放運動推進センターというところを知りました。この団体は、当時施行されたばかりの暴力団対策法にともなって設立された公益法人で、ヤクザから足を洗った人たちの手記集「暴力追放BOOKシリーズ」という本を全四巻発行しています。さっそく取り寄せて読んだところ、巻末に資料として暴力団の公用語集が載っていました。「さつ」「わっぱ」「なおん」などのヤクザ言葉から取材し、組織から離脱する若者の物語を描いたのがこの作品です。
高倉というキャラクターが初登場し以降この旅に付き添うこととなります。背中の入れ墨が前回までのあらすじになっています。ほぼ中央下部に「アメリカを葬った男」とあだ名された、サミュエル・ジアンカーナというマフィアのボスもコラージュしました。そういえばタイトルが「任侠紙風船」になってますね。フレキシブルですね。
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