©2004 hakuhodo Inc.
博報堂から出ている「広告」という季刊誌がありますが、その「天才!新幹線」という号で日本映画特集をやるから何か描いてくれと依頼されました。日本映画についてなら何でもいいからとにかく好きなものをということだったので、「妖怪大戦争」に出てくる妖怪たちを一列に並べて描いたところ、偶然その映画が三池崇史によってリメイクされ、特集の記事にもなっていると聞かされて驚いたのもつかの間、あがってきたデザインを見てもう一回驚きました。裏表紙から矢印が引かれ9ページの特集とびらに誘導されていたからです。つまり9ページを切取ってこんなふうに裏表紙にくっつけて並べると、一枚の絵につながるという仕掛だったのです。「ここに妖怪大戦争のことが書いてあるよ」という意味でしょうか菊地さん。パンクすぎやしませんか。
さて古い方の「妖怪大戦争」は公開当時近所の豆腐屋に貼ってあった人着ポスターの西洋の妖怪ダイモンがとても怖くて記憶に残ってますが、今回は何となくからかさを描きたかったのでこんな絵になりました。この映画でもぺちゃぺちゃとか言いながら大活躍してたと思います。左隅に同じ大映の大悪獣ギロンをおまけで描いておいたのですが妙に馴染んでますね。ちょうど宇宙ギャオスを切り刻んでいるシーンです。
©1994 GENKOSHA Co.
人情紙風船の第5回のテーマはチョンボです。チョンボとは麻雀プレー中にうっかりおかすミスのことで、普通チョンボした人は他のプレーヤーへの満貫払いの罰則が与えられます。その数あるチョンボのうち劣悪なものを列挙しました。話の方は旅の一行が雀荘インドで麻雀を楽しんでいるとき現れた店のマスター天竺徳兵衛が、怪物をあやつって又十郎に戦いを挑むという筋書きです。このアイデアはそのころ観た歌舞伎の「児雷也豪傑譚」から拝借したもので、今みるとこの児雷也と天竺徳兵衛がごっちゃになってますね。いずれにせよ怪物の正体は蝦蟇ということになりますが。
さてこの蝦蟇の怪物が麻雀卓を電ノコで切断しています。絵の構成上これが最もやってはいけないマナー違反で、なおかつ危険な行為ということでしょう。以下、ロン上がりしたプレーヤーを後ろから切る、牌がバカでかい、といったチョンボが続いています。こうしてみると麻雀はたいへん危険なものだと思われそうですが、実際はお茶とかコーヒーを飲んだりカレーライスを食べたりしながらできる、ほのぼのとしたとても楽しいゲームです。お金さえ賭けなければ。
©2007 GENTOSHA INC.
こんな大ざっぱな勢いだけの人生で大丈夫なのかしらと考えさせる本の装丁を、同じく大ざっぱな勢いだけのイラストレーションでデザインできたことを、編集者やディレクターの方々に感謝しております。他人からみるとどこまで自覚的につくられているか量るのは難しいものですが、あえて説明すれば表紙から内容を通して裏表紙まで、一律アバウトな手法で貫かれた希有な本じゃないかと思います。
書評ではないので絵について二三。全体的には中国を活写してます。天安門、太極拳、上海タワー、胡錦濤、飲茶、文革、紅衛兵、張作霖爆殺、長城、二胡、ミサイル駆逐艦、最新の高速鉄道やスタジアム、その他諸々、ざっくばらんに抽象化をほどこしたこれらのアイテムは、うろ覚えで描いた場合とほぼ大差がないものになりました。色の方は何となく赤、いや紅かな、それと黄色。この組み合わせがやっぱり中国で、もちろん国旗の色組からの引用です。様々な媒体を通して植え付けられる、記憶と予想の入り交じったイメージの混合そのものが俗なる現中国ではないでしょうか。いま考えてみるとパンダがいませんね。
amazonで見る/幻冬舎ホームページ/さくら剛ホームページ
©2007 Infobahn Inc.
めずらしくできたてほやほやのとびら周りのアイキャッチでアイドルとその取巻きの皆さんを描かせていただきました。こういうのはよく知らない分野ですが、記事によるとハロープロジェクトを擁する芸能プロダクションの経営戦略がいかに良くできているかが書かれています。ハロープロジェクトとはモーニング娘。とそこの卒業組やあやや、小中学生からなるハロプロエッグといった周辺アイドルを一緒くたにした巨大グループらしいです。
詳しい知り合いによるとハロプロはプロレスとの相似性で理解するのが良いと言ってました。例えば先日CSで偶然みた天龍とHGの試合は、石黒と5期メンバーがユニット組むような感じかも知れないとのことですが、余計分かりづらくなった気がします。世間的にはそうも見えないでしょうけど・・・と一応付け加えてはいました。そんなわけでハロプロについては詳しく調べてからまたご報告しようかなと思っています。
ultracyzo.com
©2003,2007 OHTA PUBLISHING CO.
CGにはベクターとビットマップ(ラスター)という2方式があります。前者はドローツール、後者はペイントツールとしてすでにお馴染みです。ドローツールの代表は Adobe Illustrator ですが、今回は通常とはちょっと違う使用法で描いた2点を紹介します。「CONTINUE」というゲーム雑誌の表紙で、2点ともお馴染みの漫画の主人公をIllustratorで描きました。
まず左のアトムですが、ベクター方式の特徴である「パス」が、肉眼であからさまに認識できるよう描いてあります。これは「パス」を現実世界での絵具の「筆触」に相当させ、これによるデジタル上の筆触分割 ができないかという考えに依っています。加えて「塗り機能」によりアナログ画材の特徴をある程度模倣しながら、アナログとデジタル各々の筆触が混合された状態を表現しました。以前紹介した”Entomophonic”のジャケットが純粋にオープンパスのみを使用した作品なので、比較すると面白いかも知れません。
右のクラウザーさんは原画の再現が主な目的だったので、おおむね現実世界のガッシュの風合いをシミュレートすることが目的なので、より細かな作業の集積のためドローツールの特徴は打ち消されています。だったらドローツールを使った意味があるのかということになりますが、使用したすべての色彩が10%刻みの4色分解となっており、通常のプロセス印刷において数値で指定できるぶん、色調や明彩度の再現性はかなり高いといえるでしょう。ペインティングに見えるけど指定原稿ということです。しかも解像度から解放されているため同じデータをこのくらい拡大しても遜色は一切ありません。
簡単にいえばドローツールでペインティングを描いたことになります。ドローイングとは線を引いて「形」を記述することであり、ペインティングは多種多数の粒子を選択変換して「色」を表現する作業です。現実の世界で無意識にやってたことが、デジタルの世界ではいちいちこんなふうに意識せねばならず、これが何かと面倒くさいわけですが…。今回紹介したかったのは「どう描くか」であって「何を描くか」ではありません。つまりこの2作品は、既成のキャラクター画をよりフレキシブルに機能させるため、その「描き方」を求められた、メタ・イラストレーション的な仕事だといえるのかも知れません。
太田出版ホームページ/ASTROBOY/DMC電脳処刑場
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