この前うちのPCのハードディスクが壊れて、かなりの数の作品データが消えました。これはそんな状況の中、作業途中のものを何とか繋いで再現したテンプレート・デザインです。
ビオトープという言葉を知ったのはメディア・ビオトープという本を読んだ時だったような。そこにちょこっと書かれているベランダ・ビオトープの発想が自分としてはとてもピンときたのを覚えてます。スチールやプラスチックの廃物を使って水場をつくりそこに小さな生物を集めてみよう的な、何となく肩の力を抜いて手軽に実践できるのもピンときた理由のひとつです。大自然に畏怖は抱いても人間ごときが地球のことを心配するのは100万年早いと、誰が言ったかは忘れましたがそりゃそうだなと気づかされ、そういう自分の腑に落ちたのがこの発想だったのかも知れません。
子供の頃によく人家の庭に忍び込んでは池でザリガニを釣って遊んでたことを思い出しますが、そのときに見かけたボウフラとかアメンボなんかとは何年もご無沙汰してます。いなくなった訳じゃなくて自分がそういう場所にいかなくなったからでしょうね。それに子供の時分に持っていたアンテナが錆び付いたせいもあります。すぐそこに展開しているはずの「自然の驚異」が目に入ってこない。せいぜい晩夏の道ばたに死んでる蝉を見つけ、蹴っ飛ばしたら実はまだ生きていて飛びかかられるとか、雨上がりに石ころを蹴っ飛ばしたら、それが実はヒキガエルでやっぱり飛びかかられるとか、最近の驚異(どちらかといえば脅威)なんてそんなもんです。あとは大量発生したミミズくらいか。こちらはなかなかのものでしたけど。あーそれから、窓のすぐ外の枝にメジロが止まって鳴いてたり、電線を綱渡りするイタチのような動物を明け方目撃したのを思い出した。なんだ結構あるじゃん自然の驚異。
それはそうと、PCがクラッシュするというのはけっこうこたえますね。忘れてる時間帯は良いのですが思い出すと一気にブルーになります。まったくと言っていいほど何の前ぶれもなく、野の花を摘むようにフワッと再起動したら二度と立ち上がらない。これが最近いちばんの驚異かも。
©2009 Canon Inc.
PRAXIS はキャノンの POD(プリント・オン・デマンド)で仕上げたフリーペーパーです。オンデマンド・プリントの特性や利便性を「情報」の流れ方や取り入れ方に関連づけて考えるのはとても面白いのだけど、その表面を飾るデザインやイラストレーションにとってはどうなんでしょうね。オンデマンドの技術を用いて発行数を限定したり好みのアレンジを選択できるようにして付加価値を上げる、といったような月並みなアイデアしか今は見つからないのも事実です。どうもこの件に関して自分の発想には限界があるようなのでやめますが、そのうちコペルニクス的な転換でもって良いアイデアが出そうになったら、その時は改めて書こうと思います。
そんなわけで表紙イラストの話。この絵がイラストレーションとして使われるのは、つまり印刷媒体として使われるのはこれで4回目で、大判にプリントして展示したこともあるのでそれを入れると5回複製されたことになります。最初は雑誌で使用され、それから年鑑への掲載、教科書、そして今回と、こういうケースはとても珍しいとの旨を以前のレポートにも書きましたが、1枚の絵が4回使用されるということは、イラストレーションとしての耐久性というか汎用性というのか、そういう秘訣が絵の中に隠されているのかも知れませんね…と自画自賛できるほど、気に入ってるわけでもないところがまた不思議なんですが。
しいて言えば、3連の絵の1枚が後ろ向きの人だけで構成されているので、これがシリーズ全体の印象を左右することは確かで、飽きのこない秘訣はそこにあるのかも知れません。特に秘訣というほどものでもないか。でもこのことはポイントでしょうね。後ろ姿によって何らかの情緒を引き出そうとしたわけではなく、連作の中のアクセントとして面白いと思ったことは描いた当時の記憶にもあるし、いま見てもこの1枚抜きにはありえない感じはします。いっそ全部後ろ姿で「集合」を描いたら、それはそれでかなりイケるのかも知れません。
それと今ふと思ったんですが、この絵が印刷された4回のうちイラストレーションの一般的イメージである「文章の内容を説明する」という役割でその機能を求められたのは最初の1回だけでした。2回目と3回目はイラストレーターの作品紹介を目的とした単なる「図版」として使用され、この4回目にして表紙イラストと作品紹介の機能を兼ねるという、そういう複合的な使われ方に至ったわけです。展覧会用にプリントした1回を加えるとさらにややこしくなる。つまり役割を変遷させながらその時々の要請にしたがって繰り返し複製されてきたってことですよね。…だから何だよって話ですけどw
ディズニー、大好きです。プルートが好きだったんで東京ディズニーランドへ行くたびに探しては握手してもらってましたが、最近はめっきり遊びに行ってないですね。キャプテンEOができた当初もEO目的で何度か通ったし、スターツアーズもできてすぐ乗りに行ったし、必ず入るアトラクションはホーンテッドマンション、カリブの海賊、イッツ・ア・スモールワールドと、何となく自分の中に定番もあるし、そう考えるとディズニーランドが結構好きなのかも知れません。でも1983年のオープンの時に思ったのは「これがいつまで保つんだろう、自分には関係ないけどさ」という心配と揶揄の入り交じったものだったような…
なぜそう思ったのか。それはぼくが子どもの頃、つまり70年代のディズニーのイメージが何とも冴えないものだったからです。過去に名作はあれど、抱き合わせのリバイバルやリメイク上映ばかり。どっちかといえばアニメより大自然の記録映画なんかを製作する、石頭でマンネリな印象でした。たとえば「わんわん物語」と「おしゃれキャット」や「101匹わんちゃん」を忘れた頃二本立てで上映したり、新作かと思ったらずいぶん前につくった「狼王ロボ」だったり、なんだか東宝チャンピオン祭みたいなことやってるな程度にしか感じませんでした。日本テレビの「ディズニーランド」の方が本物のウォルト・ディズニーが出てくる分よっぽど面白かったかな。こっちも再放送だったけど。
実はこの頃が、ディズニー・プロダクションズにとって苦難の時代だったことを後から知ります。ウォルトとロイの兄弟がこの世を去り、カード・ウォーカーとドン・ティータムの二頭体制、ウォルトの娘婿のロン・ミラーが製作部門の実権を握った辺りからロイの息子ロイ・エドワード・ディズニーが孤立、それが乗っ取り事件へ発展し収束するまでの数年にわたるお家騒動のまっただ中という状況に加え、過去の遺産にすがるばかりの放漫経営のせいでディズニーならではのダイナミックなシナジーが働かなくなっていたことが最大の原因でした。この間の功績といえば「ブラックホール」のオープニングタイトルと「トロン」で、ボブ・エイブルがコンピュータ・グラフィックスの未来の可能性を示してくれたことと、ミラー創設のタッチストーン・ピクチャーズが「スプラッシュ」のスマッシュヒットでのちの大躍進を予見させてくれたことぐらいかも。とにかくロン・ミラー体制はこのわずかな(今振り返るとけっこう眩しいけど)輝きを最後にあえなく崩壊します。
えーと、書いてるうちに楽しくなってきちゃいました。たしかこの当時のロイ・エドワードの乗っ取り騒動がかなり面白かったはず。その後のアイズナー登場からカッツェンバーグの活躍など、当時の資料を見直してから続きはまたちゃんと書こうと思います。
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東京・南青山「スパイラル」でお披露目イベント開催決定!
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自然の風景を抽象化したシリーズをこのカバーイラストで続けています。かたちを簡略化する過程で不必要なものを捨象し、残ったエッセンスがパターン認識に響くある種のコノテーションを生むような感覚。それがカッコ良かったり、可愛かったり、けっこう不健全な気持ち良さだったりして、わりあい日頃から馴染みのあるこの感覚には助けられることが多いです。抑揚を削りとった禁欲の中にひそむ意味解釈の迷宮のようなものなのか。直線や簡潔なカーブ、大ざっぱな面分割に、そんなことを感じるようになってけっこう経ちました。
ふり返って思えば、荒木伸吾作画のタイトルバックにも昔この感じがあったような… (今見ると線の情感のほうが気になります)密度を信じるなとか、形をわり切れとか、気持ちを入れ過ぎると艶がなくなるとか、そういうNHKのスポーツ実況のような、抑制された状況で生まれる感覚はやっぱ大事ですね。このイラストもせっせと描き込むより、あとから間引く作業の方に醍醐味を感じながら描いているしだいです。
ということで、これまでの4冊も含めこのシリーズをいつも冷静にデザインしてくれるのは Watermark の水野さん。今回からテーマを一新してスタートしました。この問題集とっても売れてるとのこと、嬉しいかぎりです。
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多分ひとつはアート、もうひとつはイラストレーションをテーマにギャラリートークを行います。なぜ多分かというと、一方はアートスペースもう一方はイラストレーション系ギャラリーとされている場所だし、展覧会の性質の違いからしても当然そうなるだろうと思ってるからです。
去年もアートとイラストレーションの話題を行き来するような、80年代をテーマにした対談をやりました。こうしたテーマは誤解を招きやすいことも未だ多いようなので、対談前には自分の立場も含め極力説明をさせてもらってます。アートやデザインやイラストレーションやその他について、その前提の共有なしに議論を繰り返している状況もまだまだ多く、これについてはいささか注意が必要だと思ってるので。
少しめんどくさいのですが、作り手と作品をとりまく制度や文脈、その機能、内省面等々を、例えば「アート」と「イラストレーション」という言葉のうちに定義すれば、そもそも位相の違う概念であることがある程度はっきりするし、その上で自覚的に話し合った方が楽しいと思います。これはその言葉の意味として何が正しいかではなく、話し合うなら同じ意味を共有しようという提案です。
ということで、このくらいは説明しないと変な反発、あるいは共感をされたりする恐れがあるので(笑)以上前置きでした。
「花と夢」市川健治展 6月27日(木)19:00~ ※こちらは終了しました
吉祥寺 Art Center Ongoing:地図
「FRIENDS」絵を描く教室16人展 7月5日(日)16:00~ ※こちらも終了です
神宮前 PATER’S Shop and Gallery:地図
去年もアートとイラストレーションの話題を行き来するような、80年代をテーマにした対談をやりました。こうしたテーマは誤解を招きやすいことも未だ多いようなので、対談前には自分の立場も含め極力説明をさせてもらってます。アートやデザインやイラストレーションやその他について、その前提の共有なしに議論を繰り返している状況もまだまだ多く、これについてはいささか注意が必要だと思ってるので。
少しめんどくさいのですが、作り手と作品をとりまく制度や文脈、その機能、内省面等々を、例えば「アート」と「イラストレーション」という言葉のうちに定義すれば、そもそも位相の違う概念であることがある程度はっきりするし、その上で自覚的に話し合った方が楽しいと思います。これはその言葉の意味として何が正しいかではなく、話し合うなら同じ意味を共有しようという提案です。
ということで、このくらいは説明しないと変な反発、あるいは共感をされたりする恐れがあるので(笑)以上前置きでした。
「花と夢」市川健治展 6月27日(木)19:00~ ※こちらは終了しました
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