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©2004 hakuhodo Inc.

博報堂から出ている「広告」という季刊誌がありますが、その「天才!新幹線」という号で日本映画特集をやるから何か描いてくれと依頼されました。日本映画についてなら何でもいいからとにかく好きなものをということだったので、「妖怪大戦争」に出てくる妖怪たちを一列に並べて描いたところ、偶然その映画が三池崇史によってリメイクされ、特集の記事にもなっていると聞かされて驚いたのもつかの間、あがってきたデザインを見てもう一回驚きました。裏表紙から矢印が引かれ9ページの特集とびらに誘導されていたからです。つまり9ページを切取ってこんなふうに裏表紙にくっつけて並べると、一枚の絵につながるという仕掛だったのです。「ここに妖怪大戦争のことが書いてあるよ」という意味でしょうか菊地さん。パンクすぎやしませんか。

  

さて古い方の「妖怪大戦争」は公開当時近所の豆腐屋に貼ってあった人着ポスターの西洋の妖怪ダイモンがとても怖くて記憶に残ってますが、今回は何となくからかさを描きたかったのでこんな絵になりました。この映画でもぺちゃぺちゃとか言いながら大活躍してたと思います。左隅に同じ大映の大悪獣ギロンをおまけで描いておいたのですが妙に馴染んでますね。ちょうど宇宙ギャオスを切り刻んでいるシーンです。
 
©2007 GENTOSHA INC.

こんな大ざっぱな勢いだけの人生で大丈夫なのかしらと考えさせる本の装丁を、同じく大ざっぱな勢いだけのイラストレーションでデザインできたことを、編集者やディレクターの方々に感謝しております。他人からみるとどこまで自覚的につくられているか量るのは難しいものですが、あえて説明すれば表紙から内容を通して裏表紙まで、一律アバウトな手法で貫かれた希有な本じゃないかと思います。

書評ではないので絵について二三。全体的には中国を活写してます。天安門、太極拳、上海タワー胡錦濤、飲茶、文革、紅衛兵、張作霖爆殺、長城、二胡ミサイル駆逐艦、最新の高速鉄道やスタジアム、その他諸々、ざっくばらんに抽象化をほどこしたこれらのアイテムは、うろ覚えで描いた場合とほぼ大差がないものになりました。色の方は何となく赤、いや紅かな、それと黄色。この組み合わせがやっぱり中国で、もちろん国旗の色組からの引用です。様々な媒体を通して植え付けられる、記憶と予想の入り交じったイメージの混合そのものが俗なる現中国ではないでしょうか。いま考えてみるとパンダがいませんね。

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©2003,2007 OHTA PUBLISHING CO.

CGにはベクターとビットマップ(ラスター)という2方式があります。前者はドローツール、後者はペイントツールとしてすでにお馴染みです。ドローツールの代表は Adobe Illustrator ですが、今回は通常とはちょっと違う使用法で描いた2点を紹介します。「CONTINUE」というゲーム雑誌の表紙で、2点ともお馴染みの漫画の主人公をIllustratorで描きました。

まず左のアトムですが、ベクター方式の特徴である「パス」が、肉眼であからさまに認識できるよう描いてあります。これは「パス」を現実世界での絵具の「筆触」に相当させ、これによるデジタル上の筆触分割 ができないかという考えに依っています。加えて「塗り機能」によりアナログ画材の特徴をある程度模倣しながら、アナログとデジタル各々の筆触が混合された状態を表現しました。以前紹介した”Entomophonic”のジャケットが純粋にオープンパスのみを使用した作品なので、比較すると面白いかも知れません。

右のクラウザーさんは原画の再現が主な目的だったので、おおむね現実世界のガッシュの風合いをシミュレートすることが目的なので、より細かな作業の集積のためドローツールの特徴は打ち消されています。だったらドローツールを使った意味があるのかということになりますが、使用したすべての色彩が10%刻みの4色分解となっており、通常のプロセス印刷において数値で指定できるぶん、色調や明彩度の再現性はかなり高いといえるでしょう。ペインティングに見えるけど指定原稿ということです。しかも解像度から解放されているため同じデータをこのくらい拡大しても遜色は一切ありません。

簡単にいえばドローツールでペインティングを描いたことになります。ドローイングとは線を引いて「形」を記述することであり、ペインティングは多種多数の粒子を選択変換して「色」を表現する作業です。現実の世界で無意識にやってたことが、デジタルの世界ではいちいちこんなふうに意識せねばならず、これが何かと面倒くさいわけですが…。今回紹介したかったのは「どう描くか」であって「何を描くか」ではありません。つまりこの2作品は、既成のキャラクター画をよりフレキシブルに機能させるため、その「描き方」を求められた、メタ・イラストレーション的な仕事だといえるのかも知れません。

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