[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6
※ こちらもイベント終了後なのですが掲載しまーす

<ナレーション>
水野健一郎の主成分は「フォーム=情報」である。フォームは数あるコミュニケーションから採掘され、物質性の衣をはぎ取られる。メディアから切り出されると同時に裸にされたフォームは、その固有の既視感を核として残存させながら、水野の脳内で再構築される。いや次の構築に必要なテクネのために、水野自信がアップデートされると言った方がより正確だろう。新たなフォームは作品ではなく、水野にヒットするからだ。物質から解き放たれ、既視感をエネルギーに変換したフォームにとって、メディアの越境はかくもたやすい。だからこそ水野は、メディア空間で縦横に行き来するダイナミズムを手中にできるのである。

 

<こども>
これって何のことだかサッパ分からないや。

<わたし>
「フォーム=情報」の情報というのは意味論的情報のことで、これはエイドス(形相)のことを言っているんだよ。水野くんはスケーラブル性を保ちながらフォームを展開させるんだけど、逆にいえばフォームとはそもそも「意味」のことだからスケールというものを持たない。だからスケーラブルに展開する自由をフォームに持たせたままにしておくというのは、スケールの奴隷としてフォームを縛りつける物質性(たとえばキャンバスや解像度)をフォームに与えないように、仮に与えたとしてもすぐ剥ぎ取るように展開させている、ということを言ってる。もともと見えないフォームは、時々水野くんによってライン(実線)のみの作品として出現するんだけど、それが「案」の形式だったり「サイン」の形式だったりするのが面白いんだよね。けして一カ所に定着させようとしない。そのおかげでフォームは、さまざまなメディア上で現れては消える動的(ダイナミック)な性格をもつことができる。フォームそのものに物質性がないからできるんだね。

 

<こども>
へえ、フォームってお化けみたいだね。

<わたし>
もう一つ、フォームはもともと見えないとさっき言ったけど、見えないというよりもこの世の中に存在しない。なぜならフォームはそれを解釈する観察者の水野くんの心の中にしか存在しないからなんだ。そう、フォームはベクターだからね。存在するには他者からの認知が前提となるから、そのためには物質性の衣をまとわなければならない。水野くんのフォームはこの衣を瞬間瞬間に着替えては脱ぎ捨てる、というより水野くんが黒子のようにフォームを着替えさせるというか、だからフォームは所々で明滅するように現れては消える。でもこれってフォームの原初的な在り方を水野くんが引き出した、あるいはメディアを選ばぬダイナミズムとスケーラブル性に変換させたというべきかも。このフォームの生き生きとした全体性が水野作品と呼べるんじゃないかな。

  

<こども>
み・ず・の・さくひん…?

<わたし>
次は既視感の話。冒頭には、数あるコミュニケーションから採掘と書いてある。ある要素は他のすべての背景から区別されることでぼくたちはゲシュタルトをつくり出すんだけど、切り出し元からの気配や影響が既視感となってこれがフォームに残る。この既視感がインセンティブとなり他者に観る気をおこさせたり、観たものの背景にある世界を他者の心に投影したりして、特定の感情移入を生んだりする。このことはデザインやイラストレーションのテクニックの一つでもあるし、特にイラストレーションはこれなしには機能しないと言っても良いわけで、その意味では水野作品はイラストレーションと呼ぶこともできる。そして水野くんの既視感の配合のセンスがこれまでにない未知のものとして認知されることで、こうしたデザイン分野でも先端的な存在、つまりオシャレな存在となるわけなんだ。

  

<こども>
水野さん、おしゃれなんだ。

<わたし>
ところでぼくは水野作品を絵一般として解釈したいと思ってるから、そういう視点でこれまでの状況を分析すると別の面が見えてくる。ビジュアルコミュニケーションの中から切り出した新しいフォームが、水野くん自身を内部から構成している情報にヒットする。当たり前だけど人間は情報でできているからね。水野くんはこれによって古い情報を組み替え、メタレベルの新しいつくり手となって次のフォームを生み出し、これに物質性(ヒューレー=メディア)をあたえ造形する。じつはこの過程は、水野くんの解釈が第三項となって第一項の前フォームから第二項の新しい解釈としてのフォームを生み出すことに等しい。おそらくこんな感じの環世界を水野くんは生きているんだと思う。可塑性の高いフォームが既視感を動力として、ダイナミックにメディア間を行き来する姿をありありとイメージできるよね。

   

<こども>
やっぱり分からないや、でも水野さんすごいねー。

<ナレーション>
ただし水野のこの営みは絵画的とはいえない。だからこそ絵画への対抗として機能することを、水野がどこまで自覚しているのか聞いてみたいものである。メディア選択の可能性を無数に感じさせる水野のフォームの、その動力となるのが既視感であるとして、フォームの在り方とともに既視感ももちろん固定されず、繰り返し変化しつづける。こうした解体と形成の反復の行程そのもの、つまりフォームの動的な在り方や既視感をチェンジし続けることが、水野のいう「超時空感」なのではないだろうか。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

つづく…
※ すでに終了したイベントですが遅まきながら掲載します


DM design: Shun Sasaki

都築潤ディレクション 「不安すぎるライン」
conix 管弘志 山本歩美 トキタシオン 林香苗武

2015/5/12(火)~05/17(日)
11:00~19:00(最終日18:00)
※ レセプション 05/12(火)18:00~20:00

絵をながめていて、いつも気になることが二つあります。一つは品性、もう一つはかたちです。必要不可欠な品性とかろうじて維持されたかたちの、関係上に引かれるのが「境界線=ライン」です。疑念によって引かれたラインが、手癖やトライブを越えるとき、作者たちのラディカルなスタイルがそこに現れます。(都築潤)

<出品者>


conix コニックス
千葉県出身。女の子を中心としたイラストで国内外より反響を呼ぶ。
conixx.tumblr.com


管弘志 Kan Hiroshi
1973年 大阪生まれ
1994年 創造社デザイン専門学校夜間部卒業
個展:1997年 HBギャラリー(東京)/2001年 ROCKET(東京)/2003年 ROCKET(東京)/2004年 Blink Gallery(ロンドン)/その他グループ展多数
VOL.7 HBファイルコンペ藤枝リュウジ賞/タンカレーマティーニパーフェクトアート2000常磐響賞/第112回 THEチョイス入選/第11回TIS公募入賞ほか
仕事:雑誌「モーターマガジン」/雑誌表紙「カーサブータス」/ホテルクラスカブックCDほか/CDジャケット/キリンジ「カメレオンガール」/リップスライム「黄昏サラウンド」
hirishikan207.blogspot.jp


山本歩美 Yamamoto Ayumi
1990年京都生まれ
京都造形芸術大学 イラストレーションコース卒業
ダサいを、ポップに!
受賞歴:第9回グラフィック 1_WALL 奨励賞受賞(居山浩二選)/第10回グラフィック 1_WALL ファイナリスト


トキタシオン Tokita Shion
1993年 山梨県生まれ
2014年 東京綜合写真専門学校卒業
受賞歴:2013年 第3回キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト(横木安良夫選)/2014年 第11回グラフィック「1_WALL」審査員奨励賞(都築潤選)/2015年 第12回グラフィック「1_WALL」審査員奨励賞(都築潤選)/第31回日産童話と絵本のグランプリ 佳作
グループ展:2014年 第3回キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト展(オープンギャラリー(品川)キヤノンSタワー)
art-shion.wix.com


林香苗武 Hayashi kanae Takeshi
1991年長野県生まれ。
2011年より平面表現における速度を主題とし、制作活動を続けている。 現在は速度主義を掲げ「"あらゆる摩擦や抵抗を無くした"機械を創造する」を理念とし、制作を行う。


都築潤 TSUZUKI JUN
1962年生まれ。武蔵野美術大学卒業。
イメージフォーラム中退。
日本グラフィック展、日本イラストレーション展、ザ・ チョイス年度賞、年鑑日本のイラストレーション、毎日広告賞、 TIAA、カンヌ国際広告祭、アジアパシフィック広告祭などで受賞。主な仕事に、TVドラマ「ギフト」「人にやさしく」などのタイトルマーク、日本IBM、ナイキジャパン、日本HP、SUBARU、日清紡、東海大学、東京都庁などの Webコンテンツ、クボタ、三井物産、大塚製薬などの新聞広告の他、ポスター、雑誌の広告イラスト、書籍のカバーイラストは多数におよぶ。2001年から「絵一般」についてのトークイベントを定期的に実施。美術出版社「日本イラストレーション史」執筆、監修。専門誌や Webでイラストレーションについての文章を多数執筆。Webコンテンツ制作ユニットfirelightとしても活動。京都造形芸術大学情報デザイン学科教授、多摩美術大学非常勤講師。東京工芸大学、創形美術学校、桑沢デザイン研究所、美学校でも授業を担当。近年開催の展覧会は、2010年個展「ニューエイドス」、2013年「都築潤×中ザワヒデキ」。
neweidos.cc
公開最終審査ではほんとにカロリー消費しました。
グランプリの寺本愛さんおめでとうございます!
(柿木原さん写真おかりします)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



第9回グラフィック部門の1-WALL展が始まりました。5日には公開最終審査がおこなわれます。これほんとに面白いのでぜひ観にきてくださいませ。ということでラインナップは、江波戸李生勝正光寺本愛とんぼせんせい三山真寛横山かおるという面々であります。前回の顔ぶれもとてもユニークでした。一望して分野横断的になるその理由というのも、審査側としては嗜好の幅をできるだけ拡げ、グラフィックとは何かという問いに対し結果的に作画表現に一定の傾向がない出品群となることを暗に望んでいるからです。問題はそこじゃないんだよという強い示唆が、これには含まれているのかも知れません。

どんな作品でも良いのよ、平面ならね♡・・・じゃあその基準はどこに?

それが古くには「イラストレーション」ちょと昔は「アート」と呼ばれましたが、いつの間にか「ART」のうねりに飲み込まれ、その反動なのでしょうか「グラフィック」という呼称が再認識されて今はその中にあるようです。というよりこの一連の運動の中に基準らしきものが隠れているのです。そこには「グラフィックアート」とは呼べない不思議さがあり、一方でジャンルを無節操に横断したくはない自分もいて、こんなふうにけっこう整理はしてるけど人に伝えるのは至難の技というのが正直なところ。なるほどこれこそが、言語とはリファレンスの体系であるという何よりの証拠かも知れません。ついでに言うとちょっと昔の「アート」の時代はグラフィック展という看板が掲げられたにもかかわらず、選ばれた呼称は「アート」でした。



こうして毎回似たような課題が浮上します。前述のように作画表現を限定させまいとして応募作品各々に、分野別の嗜好にしばられずもしかし何か透徹した解釈を迫られ、最先端なんてものがない今これは愉快なことでもあるしそーゆう状況で下野薫子を発見できたことは喜びですが、この状況で今日言うところの「グラフィック」の、たとえば絵画やコミックやデザインやアニメーションなどの歴史とか時間とかがつくってきた文脈をある程度無視して、簡単に言うと分野の専門性を切り離したその外側で、尖端性や既視感を再設定しかつそれを裏切り続けなければならないという、このような課題がまたきつい。隠れてる基準をさがし物差しにするというのは、そういうことだと思います。だから今回の公開審査も参加者全員がそうとうにカロリーを消費する現場となるでしょう。とはいえ「複製」がキーであることに変わりはありませんけど。(敬称略)

とにかく百聞は一見にしかず!
展覧会、公開審査、トーク、PFレヴューをぜひ体験しにきてください。

【第9回グラフィック「1_WALL」展】
2013年9月2日(月)~ 9月26日(木)
11:00a.m.-7:00p.m. 日曜・祝日休館 入場無料

【公開最終審査】
9月5日(木)6:00p.m.-8:30p.m.
審査員:居山浩二 柿木原政広 菊地敦己 都築潤 長崎訓子
入場無料、要予約(TEL 03-5568-8818)
審査会はどなたでもご観覧いただけます。

【トークショー】 
「グラフィックのいま、これから」VOL.2
第8回グラフィック「1_WALL」会期中に開催したトークショーの続編です。
前回語り切れなかったことを語りつくします。
開催日時:9月12日(木)7:30p.m.-9:00p.m.
入場無料、要予約(TEL 03-5568-8818)*予約受付中

ゲスト:
菊地敦己(アートディレクター)
都築潤(イラストレーター、グラフィックデザイナー)
室賀清徳(『アイデア』編集長)

【ポートフォリオレビュー】
各界で活躍する方々をレビュアーにお迎えし、ポートフォリオレビューを開催します。参加者以外の方も見学できるオープンな場です。ぜひお出かけください。
開催日時:9月25日(水)7:10p.m.-9:00p.m.
入場無料、入退場自由、見学可

レビュアー:
大原大次郎(グラフィックデザイナー)
サイトウユウスケ(イラストレーター)
こちらのイベント終了しました。
ありがとうございました!



アーティストでイラストレーターでアニメーション作家でもある水野健一郎氏の個展「アニメーション」でトークをやります!場所は銀座のガーディアン・ガーデン、日時は29日月曜日7:10pm〜8:40pm(予定)というとても不可解な時間帯です。水野さん関係のトークはNADiff美學校でもやったのですが、どちらもとってもディープな催しとなりました。



先立って新宿の海鮮居酒屋で行われたもう一人のゲスト浅野直之さんを交え、刺身と焼き魚をつまみながらブレストしてきました。テレビ漫画と呼ばれていた昭和40年代から、アニメ主題歌やタイトルバック、作曲家、声優、アニメーターの話に花が咲きましたが、具体的なことはほとんど忘れてしまいました。本番はこのようなただの居酒屋話にならぬよう、しっかりと映像を流しながらやるようです。影響を受けたテレビアニメ、アニメーションの過去現在、2000前後のゲーム業界との接近、なぜオシャレであってはいけないのか、モンスリーナディアのことやどうでもいい業界話など、これらに何とか収拾をつけ、解説、進行していきたいと一同考えております。



水野健一郎展“アニメーション”
2013年7月16日(火)~ 8月1日(木)
11:00am〜7:00pm 日曜・祝日休館 入場無料

トークショー
「商業アニメとアートアニメの狭間で」
都築潤×浅野直之×水野健一郎
2013年7月29日(月)7:10pm〜8:40pm(予定)
入場無料 要予約(予約TEL 03-5568-8818)


MdN「デザインを学ぶ 2」に作品が紹介されました!
かつ、色彩についてのインタビューも掲載されました。イラストレーションでのカラー計画についていろいろと語っていますが、じつは色は苦手なのでどう説明したら良いか迷ったあげく、素直に「色が嫌いです」と文中で打ち明けてます。でもたしかに嫌いな分セオリーは思いっきりあるので、そういう意味ではタイトルに偽りはないですね。



形態と色彩は切っても切り離せない関係であるにも関わらず、その間には小学生の時から深淵な溝を感じていました。切り離せないのに遠く隔たった関係…なぜかそのように感じながらずっと絵を描いてきたので、自分が本当に描くことが好きなのか嫌いなのか、仕事をするようになってからもこの気持ちの悪い感覚がつきまとったまま39歳になった日を覚えてます。それから10年以上このことだけをアホみたいに考えてるんですが、いい加減に何とかしないといけませんなあ。それとなぜ39歳なんでしょう。

カレンダー
02 2017/03 04
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ARCHIVE
crossmedia
Cyzo feature Guide in campus Dojinboy Nationale 7 Hitoniyasashiku play Forest AB friends Talk&Manner hp
paper
paper
cover
cover
web
web
関連グッズ
日本イラストレーション史(単行本)
美術手帳_日本イラストレーション史
70年代なかば映画のチラシ集めがブームとなり、映画館… (続きを読む
ROOTOTE_Mickey & Minnie
ディズニー、大好きです。プルートが好きだったんで東京…(続きを読む
FLO:Q(フローク)
デスクトップ用ウィジェット「FLO:Q(フローク)」をデザ… (続きを読む
1980年代のポップ・イラストレーション
80年代を振り返ることがちょっとしたブームのようです… (続きを読む
赤ちゃんと子どものちいさい刺しゅう
カリスマ的刺しゅう作家大塚あや子さんのとっても可愛い… (続きを読む
ブログ内検索