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CGにはベクターとビットマップ(ラスター)という2方式があります。前者はドローツール、後者はペイントツールとしてすでにお馴染みです。ドローツールの代表は Adobe Illustrator ですが、今回は通常とはちょっと違う使用法で描いた2点を紹介します。「CONTINUE」というゲーム雑誌の表紙で、2点ともお馴染みの漫画の主人公をIllustratorで描きました。
まず左のアトムですが、ベクター方式の特徴である「パス」が、肉眼であからさまに認識できるよう描いてあります。これは「パス」を現実世界での絵具の「筆触」に相当させ、これによるデジタル上の筆触分割 ができないかという考えに依っています。加えて「塗り機能」によりアナログ画材の特徴をある程度模倣しながら、アナログとデジタル各々の筆触が混合された状態を表現しました。以前紹介した”Entomophonic”のジャケットが純粋にオープンパスのみを使用した作品なので、比較すると面白いかも知れません。
右のクラウザーさんは原画の再現が主な目的だったので、おおむね現実世界のガッシュの風合いをシミュレートすることが目的なので、より細かな作業の集積のためドローツールの特徴は打ち消されています。だったらドローツールを使った意味があるのかということになりますが、使用したすべての色彩が10%刻みの4色分解となっており、通常のプロセス印刷において数値で指定できるぶん、色調や明彩度の再現性はかなり高いといえるでしょう。ペインティングに見えるけど指定原稿ということです。しかも解像度から解放されているため同じデータをこのくらい拡大しても遜色は一切ありません。
簡単にいえばドローツールでペインティングを描いたことになります。ドローイングとは線を引いて「形」を記述することであり、ペインティングは多種多数の粒子を選択変換して「色」を表現する作業です。現実の世界で無意識にやってたことが、デジタルの世界ではいちいちこんなふうに意識せねばならず、これが何かと面倒くさいわけですが…。今回紹介したかったのは「どう描くか」であって「何を描くか」ではありません。つまりこの2作品は、既成のキャラクター画をよりフレキシブルに機能させるため、その「描き方」を求められた、メタ・イラストレーション的な仕事だといえるのかも知れません。
太田出版ホームページ/ASTROBOY/DMC電脳処刑場
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