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※巡回展も含め終了しました

12月5日からペーターズギャラリーで「ことしの仕事展」が始まります。各々のイラストレーターが今年の仕事をひとつピックアップして、その原画といっしょに媒体を展示するという企画です。媒体とはいわゆるマスメディアの複製物のことで、ポスターだったり雑誌の紙面だったり、ピックアップされた仕事によってさまざまな種類が展示されるものと思われます。そしてイラストレーションとは原画ではなくこの複製物の方だというのが私の考えです。

イラストレーションつまり「図版」として使われる絵の供給者であるイラストレーターの職能は、その媒体に対してビジュアルをアジャストさせるアイデアや技術だと考えられます。しかしその仕事の性質が、アドバタイジングのアートディレクターシステムのように分業的要素が強ければ強いほど、アイデアの主要部分であるデザイン計画のほとんどがクリエイティブディレクターやアートディレクターに委ねられることになります。もちろんイラストレーターがアートディレクターを兼ねていれば話は別ですが。

逆にその要素が弱いのが出版の挿絵やカットの仕事かと思います。結果的にどちらの世界が合うかはイラストレーターの性格によって違うでしょうし、そのイラストレーターが志向する絵や仕事のスタイルによっても違います。もちろん人間関係の違いがそれを決定づけることも珍しくありません。そして現在はとてもじゃないですが「どちらの世界」で割切れるほど、イラストレーターという職業の幅は狭くないのです。

このような仕事上の経験を経て、知らず知らずのうちにイラストレーター各々の中にハビトゥスが形成され、志向の近いもの同士がグループ化します。「イラストレーター」という職業についての認識も他のグループとは違うものになっていきます。それにともない社会からの認知や要請も多様化し、同じ肩書きでもまったく違うビジネススタイルになっていくというわけです。しいて共通点をあげれば「絵を描いている」ということぐらいでしょうか。こうした傾向はなにもこの世界に限ったことではありませんよね。

かくしてイラストレーターの意味は広がりました。最低限絵を描いていれば誰でもそう名乗る自由があります。さてこの展覧会のメンバーを見渡しますと、「イラストレーター」の前提にそれほど認識の違いはなさそうです。あるとすれば「イラストレーション」の方かな。こちらに対する考え方の違いはけっこうありそうなので、それを念頭に置いて観ていただけると面白いんじゃないでしょうか。以上「イラストレーターの仕事シリーズ」という副題があったので、そのことについて偉そうに書いてみました。

会期:2008年12月5日(金)~12月24日(水)
会場:ペーターズギャラリー 地図
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