※終了いたしました、ありがとうございました
伊藤桂司さんと一緒にした最初の仕事は、87年頃水戸で描いた階段壁画だったと思います。上の階の藤田新策さんと下の階の伊藤さんにはさまれて熱帯植物の絵を描いていて、たしかバケツか何かを伊藤さんから借りた記憶があります。その頃こうした壁画やオブジェ設置のような空間演出の仕事は、イラストレーションではなく「アート」と呼ばれていました。もちろん壁面装飾や立体造型の技師というか専門職の皆さんはいたのですが、作者である「アーティスト」に感情移入する仕組みでその企画が成り立っていたため、単純に職人的な仕事は違う成立の仕方であったはずです。
その5年後、光村図書という出版社で、伊藤さんとぼくを含めた4人で絵を描いたことがあります。この時は他に河村要助さんと谷口広樹さんがいて、50号のキャンバス2枚に、子どもや地球、植物、動物、昆虫、滝、等々を描きました。森羅万象というテーマだったのか、無制限に何でも描いたような気がします。いわゆるコラボレーション・ペインティングで描かれたこの絵が、生活科の教科書の表紙に使われました。打合せの時、河村さんがあまり人の話を聞かず、紙にひたすら絵を描いていたのを覚えています。ディレクションをしてくれたのは東泉一郎さんでした。
その2年後、大阪の阪急ファイブの催し会場にお客さんを招き、再び伊藤さん谷口さんと9枚の100号キャンバスに即興で絵を描きました。これは俗にいうライブペインティングというもので、昼頃から夜にかけて100号9枚ですからかなりヘトヘトになりながら作業したのですが、数枚のスナップ写真くらいしか記録がないし、作品もどこに保管されているのか、あるいは捨てられたのか、今もって謎のままです。ぼくはこの時何を描くかより、どのように描くかばかりを考えながら作業しました。伊藤さんの画集「而二不二(ににふに)」の発売記念イベントだったと思います。
伊藤桂司さんの過去作品を中心とした展覧会がスピークフォーで始まります。その初日にギャラリートークをやりますので、よろしかったらお出でください。過去から現在までの、伊藤作品を俯瞰できる数少ない機会だといえるでしょう。それにしても40分って短いなあ。
日時:2011年4月29日(祝)18:00(~18:40)
場所:ギャラリースピークフォー 地図
入場無料 予約不要
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