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真ん中にいるのは弁護士の千代凸盲信(ちょとつもうしん)という人で、彼に依頼すると解決してくれるどころか、トラブルが何倍にも膨らんでしまうという厄介なおじさんだ。この千代凸氏がさまざまな案件に答えるクイズがある。こちらも彼の不勉強が反映してか四つの解答のうち正解はいつもひとつだけ。いい加減なことを言っては法務部員の筒込子(つつこみこ)に呆れられるという、クイズというよりは、そんな千代凸氏をみて面白がるイベントのようだ。

その千代凸氏弁護士をタンバリンに描いた。去年の暮れタンバリンギャラリーのクリスマスの企画展に出品した作品である。ちょうど同じ時期に、これとまったく同じ絵柄で紙スタンドの描割り作品を2枚制作して、2枚とも無事にクリスマスのプレゼント交換でどなたかの手にわたった。今頃は持ち主の部屋に飾られてることだと思う、というか思いたい。さて、それで流れができたのかこのタンバリンも初日に売れたという。作品が売れるなんて何年ぶりだろう。そもそも作品を販売するような企画展に出すことじたい久しぶりだったともいえるのだけど、とにかくなぜ売れたのか考えてみた。

理由はこの作品の物質的な側面にあるのではないか。タンバリンをたたく面は薄皮でできていてそこに墨汁で絵を描いたのだが、これが思いのほかよく馴染んだ。いや、たんに馴染んだというより状況はもう少し複雑だ。本皮だか合皮だか分からないけど、その薄い膜にしみ込んだ墨汁は適度なにじみやかすれをつくり、ジェッソを敷いた部分と微妙な差をもって、画面内にガサガサやツルツルを不規則に散らせながらリズムをつくる。これがけっこう気持ちいいのだ。白黒の濃淡やコントラストとか、キャラクターの構成という絵として描かれた視覚的なものより、物質として付着した絵具のしみや盛上りの、目をつぶって手でなぞることで始めて確認されるていどのかすかな物質のリズムは、人の思考ではなくもっと深い知覚に語りかける。

語りかけられて目を開けると、千代凸弁護士がそのムードをぜんぶ台無しにするだろうけど、それでいいのだ。タンバリンを買っていただいた方は、そうとうにオメガトライブなはず。ぜひカラオケのお囃子で使ってもらいたい。
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