新しいPCが届いてからまだグラフィックのアプリケーションを入れてないのでスキャニングができない。そういうわけもあってデザインされた作品データのアップもできないので、何となく最近描いた絵を上げました。左側は仕事で使った絵、従来ならこれがイラストレーションの原画ということになります。右側はただ描いた絵、別にイラストレーションとして使用したものではありません。通常そんなことにこだわる必要は全然ないんです、がしかし…ということでネタになる画像もないので、去年書いた美手帖の特集についてのエクスキューズを少々。
いただいた感想の中で多かったもののひとつは「美術の絵画作品とイラストレーションの違いが分かりました」というものだったんだけど、けっこうこうした気楽な反応こそ自分が心配していたものでしたw 少し詳しく説明すると、あの特集では美術作品とイラストレーションを比較してその違いを述べたつもりは全くなくて、美術作品とイラストレーションを比較するということ自体が虚構だ、と書いたんです。なぜかというとイラストレーションとはあえて言えば印刷物のことであって、絵の性質や傾向を指すのではなくて絵のおかれた状態、状況を指す言葉だからです。だから比較精度を上げて比べるなら、ルーブル美術館に行ってモナリザの横にモナリザが印刷された複製物を掛けて並べて比べる、そういうことになると思います。でも美術作品とイラストを比べることって、まさかこんなふうにモナリザとモナリザを比べることを想定してませんもんね。
双方を比較すると言った時は多分こういう状況を想定してのことだと思います。例えば美術の絵画作品と言われてるそれらしい絵といわゆるイラストの原画を比べて、ふつう芸術的だから美術、説明的だからイラスト、なのにこの絵は美術と言ってるくせに何か説明的だし世俗的だからホントはイラストなんじゃない?とか、このイラストレーションはちょっとワイルドな塗り方で抽象的でチンプンカンプンだから美術じゃない?という比べ方です。こういう比較がナンセンスであって、比較の意味をなさない虚構だということを書いたんです。
ホントは原画をただ印刷して複製した状態をイラストレーションと言うかというと、それだけでは不充分だと思ってます。マスであることが必須だというのが持論です。そしてグラフィックデザインの要素となって初めてそう呼ばれるのがふさわしいと、ぼくは考えてます。しかし原画を複製した版画は18世紀のフランスでは一枚であってもイリュストラシオンと呼ばれていました。イリュストラシオンはフランスの絵新聞のタイトルとしても有名です。19世紀にミュシャも表紙を描いてたやつで、どちらかといえばこっちがマスでしょうね。
発注されようがされなかろうが、説明的であろうがなかろうが、「伝える機能」が内蔵されていようがなかろうが、とにかくイラストレーションとは印刷物、正確には印刷物の図版、ここで一旦切る。これが基本だと考えてます。
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